医学的に見た女性不妊の原因は?

近年、不妊に悩むカップルが増加しています。一般的には通常の性生活を送っているにもかかわらず2年以上妊娠しない場合は不妊であると判断されますが、ただ特に原因のないカップルの場合、8割ほどが1年以内に妊娠するため、1年を過ぎれば何らかの問題があると考え、専門病院での検査を受けたほうがよいと考えられます。

不妊治療においては、まず原因を特定するために、男性・女性ともに検査を受ける必要があります。

参考:女性不妊検査について

男性は精液検査のみで済むことがほとんどですが、女性の場合は月経周期に合わせて様々な検査を受けることになります。月経周期の3~5日目と、月経周期20日前後の高温期にホルモンの値をチェックするための血液検査を行います。血液検査では他にも抗精子抗体の有無やクラミジア抗体の有無もチェックします。

参考:男性不妊検査について

月経周期7日目~12日目頃に、卵管や子宮の状態を確認するための子宮卵管造影検査・子宮鏡検査を行います。また月経周期10日~14日目ごろには、卵胞がきちんと育っているかを確認するための内診、性行為翌日に子宮内で精子が動いているかを確認するためのヒューナー検査も実施します。

これら一連の検査を行ったうえで、女性不妊の原因が特定されればその点に関しての治療が進められます。女性不妊の原因は、大きく4つに分けられます。

排卵異常

1つめの因子は排卵異常です。正常であれば月経周期14日目頃に成熟した卵子が卵巣から排卵されます。しかし女性ホルモンの異常などで卵子が育たず無排卵の状態では妊娠はできません。ホルモンバランスを整えて正常な排卵を促すために、カウフマン療法などの治療が行われます。

また排卵はするものの、ホルモン異常や加齢の影響で、育ったとしても成長が遅い、質が悪い卵子しかできない、などの場合も妊娠に至らない原因になります。

多嚢胞性卵巣症候群と呼ばれる病態もこのカテゴリーに分類されます。小さな卵胞が多数育つのですが排卵に至るまでの大きさの卵子が育たず、結局無排卵、もしくは質のよくない卵子を排卵する状態になってしまうというもので、飲み薬や注射などの排卵誘発剤などを使用して正常な卵子を育てる治療が行われます。

参考:⇒ 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の妊娠率は?

卵管の異常

2つ目の因子は卵管の異常です。排卵された卵子は卵管を通って子宮に向かう途中で精子と出会い受精します。その後も成長を続けながら子宮に到達し、着床することで妊娠が成立します。しかし、卵管が完全に閉塞していたり、細く狭窄してしまっている・周囲に癒着がある場合は、卵子がうまく通ることができず子宮にたどり着けなくなってしまいます。

クラミジアなどの細菌感染による炎症や水腫などができることで起こることが多いです。卵巣は左右に1つずつあり、交互に排卵されますので、どちらか一方が正常であればまだ自然妊娠の可能性は残されています。

しかし、両方とも卵管が使えない場合は自然妊娠は望めず、体外受精・顕微授精を選択することになります。

子宮の異常

3つ目の因子は子宮の異常によるものです。中隔子宮・双角子宮・重複子宮など生まれつき子宮の形が正常でない場合があり、そうなるとうまく受精卵が着床できない場合があります。また、子宮筋腫や子宮内膜症・子宮ポリープなどがある場合も場所によっては着床を邪魔してしまい不妊となることがあります。

手術で子宮の形を改善する、もしくは筋腫やポリープの除去、薬で小さくしたりことでする治療を行うことで、妊娠の可能性を高めることができます。

また排卵前後には子宮頚管粘液が分泌され、精子が体内に入るのを助ける役割をするのですが、この粘液が少なかったり状態がよくないと精子が体内に入ることが妨げられてしまいます。

排卵後の高温期には黄体ホルモンの働きにより子宮内膜が厚くなり受精卵を迎え入れる準備をするのですが、この黄体ホルモン不全により子宮内膜が薄いままになってしまうと、せっかく受精卵がたどり着いたとしても着床できず不妊となってしまいます。

黄体ホルモン不全の場合は、排卵後に飲み薬や注射剤で黄体ホルモンを補充する治療を行っていきます。

免疫の異常

4つ目の因子は免疫の異常です。人間の体は異物が入ってくるとそれを敵とみなして排除しようとする免疫機能を持っています。通常、精子に対してはその機能は働かないものなのですが、まれに精子に対しても抗体を作ってしまうケースがあります。

抗精子抗体がある場合、体内に入ってきた精子を動かなくさせてしまったり、凝集させてしまいます。そうなると精子は子宮を通って卵管まで進むことができなくなってしまうため、妊娠には結びつかなくなってしまいます。この場合、自然妊娠は難しいため体外受精・顕微授精を選択することになります。

まとめ

上記に挙げたような問題がなく、男性不妊でもない場合は、原因不明の不妊であるとみなされます。タイミング療法・人工授精を数回行って結果が得られなければ体外受精・顕微授精にステップアップしていくことになります。

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