妊娠しないのはこれが原因…?逆行性射精とは

子どもが欲しいけれどなかなか妊娠しない…そう不妊に悩む夫婦は何が原因で妊娠しないのか知りたいもの。不妊と言えば女性側に多くは原因があると考えがちですが、約半数は男性側に何らかの原因があります。

ここでは男性不妊の原因の一つである「逆行性射精」についてお話ししたいと思います。

逆行性射精とはどんな状態?

逆行性射精とは、その名の通り本来は体外に射精される精液が、膀胱側に逆に射精されてしまうことです。本来ならば射精時には閉じてなければならない膀胱頚部の内尿道口がきちんと閉まらないため、陰茎側ではなく膀胱側に流れてしまうのです。この内尿道口を閉めるためには交感神経の働きが重要になるのですが、多くの場合この神経が鈍ることから起こるといわれています。

逆行性射精は、全ての精液が逆行してしまう「完全逆行性射精」と、一部の精液が逆行する「不完全逆行性射精(部分逆行性射精)」の二種類があります。射精時に精液が出ない、または非常に少ないことで多くの場合気付きますが、逆行性射精でも射精感はある為、毎回膣内で射精しているなど状況によっては気付きにくいこともあります。また妊娠を特に望んでいなければ体に害はなく治療の必要はありません。

逆行性射精になる原因と患者の割合

逆行性射精になる原因は大きく分けて二つあります。一つ目は内尿道口をコントロールする交感神経の障害や切断、もう一つは内尿道口に何らかの問題があり閉鎖してしまうことから起こります。

交感神経に影響を及ぼす原因の約半数は糖尿病です。他には事故などによる脊髄損傷、悪性腫瘍の手術(腰部交感神経切除術、後腹膜リンパ節郭清術など)の後遺症として起こる場合があります。内尿道口と前立腺がうまく閉じなくなる原因として、前立腺切除術によって尿道を広げる手術をした人が逆行性射精になるケースもあります。

このように逆行性射精は、健康で体に何も問題のない人が突如として患う病気ではありません。不妊治療する男性患者全体の2、3%ほどだといわれています。

逆行性射精の診断、治療、予防法

男性不妊の検査は様々な面から行い原因を突き止めます。逆行性射精の場合、精液は問題なく作られていることが多いため、血液から抽出した液体成分(血清)のホルモン値や精巣には特に問題はありません。例えばホルモン値が低ければ、男性ホルモンの不足によって精液が作られていないことも考えられ、精管や射精管に異常があれば別の原因も考えられます。逆行性射精は射精後の尿に精子が含まれているため、尿検査により判明します。

治療は、主に薬物を用いて交感神経の働きを正常にさせ、内尿道口を閉じるよう促します。性行為の前に薬を内服する場合と、定期的に内服する場合があります。多く使われるアモキサピンという薬は高い効果が望めますが、副作用として眠気を催すため注意が必要。

薬物治療でうまくいかない場合は、精子回収治療を行います。膀胱内に射精された精子を採取し、その精子の状態を確認した上で人工授精や体外受精を行います。膀胱から精子が回収できなければ精巣から直接精子を採取する方法を採ることもあります。

逆行性射精を直接的に予防する方法はありませんが、原因疾患である糖尿病や悪性腫瘍を予防することが間接的な予防となります。健康診断などを用いてがんなどは早期発見できるよう努力し、肥満や生活習慣を改善することで糖尿病などのリスクを下げることができます。

不妊に悩んでいるなら病院に相談しよう

逆行性射精をはじめとする男性不妊に関して、病院に行くのは気が進まないと感じる人がいます。女性側が婦人科で不妊検査を受けることはよくありますが、中には男性側からの協力が得られない場合もあり、その場合検査や治療はなかなか進みません。

不妊はデリケートな問題であまり人に相談したくないと思う気持ちは良く分かりますが、不妊原因の半分は男性にあるため、男性側も積極的に検査するべきでしょう。

不妊治療を始める際、多くの場合は婦人科で様々な検査を受けますが、その中に精液検査があります。これにより精子の数が少ない、精子の運動量が少ないなどの状況が分かれば、男性不妊外来での再検査を勧められます。専門医を受診し適切な治療を受けられたことで、すぐに子どもを授かったケースも少なくありません。

男性不妊の可能性がある人、早めに受診したほうが良い人とは

下記心当たりのある人は男性不妊の疑いがあります。病院に行く目安として参考にしてみて下さい。

    ・射精時の精液の量が少ない→逆行性射精、精液減少症の可能性あり
    ・体毛やひげがとても薄い→男性ホルモン分泌のトラブルの可能性あり
    ・睾丸が小さい(通常はピンポン玉ほど)→精巣が小さい、造精機能が低い可能性あり
    ・睾丸の大きさが左右で極端に違う→停留精巣、乏精子症、染色体異常非閉塞性無精子症、染色体異常の可能性あり
    ・過去に性病、前立腺炎、精のう炎にかかった→副性器炎症などの可能性あり
    ・過去に39度以上の高温を伴う病気にかかった→精巣炎などの可能性あり
    ・そけいヘルニア(脱腸)の手術をした→閉塞性無精子症などの可能性あり
    ・性欲がわかない、勃起しない、持続しない、膣内にうまく射精できない→ED、射精障害の可能性あり

逆行性射精などの男性不妊を患っていても、治療後に子どもに恵まれた人はたくさんいます。「子どもができない…」と悩む前に、夫婦で健康診断をするつもりで、ぜひ気軽に検査してくださいね。

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