二段階移植とは?

不妊治療に取り組んでいる人なら、体外受精の一つである二段階移植という手法についてご存知の方も多いでしょう。二段階移植とは、採取した卵子を子宮に戻すにあたって、子宮や女性の体を妊娠に適した環境へ導くために前もって初期胚を一つだけ戻し、数日経過して環境が整ってから着床が期待される胚盤胞を移植するという方法です。最終的には卵子を2個子宮に戻すことになり、卵子の成長具合によっては2個とも着床するため双子を妊娠することも珍しくありません。

この方法による妊娠の成功率は個人差もありますが、胚盤胞を一つだけ移植するケースでは約68%だったのに対して、二段階移植であれば約92%まで高めることができるというデータも報告されています。なぜこれほどまでに成功率をアップさせることができるのかというと、それぞれの胚が持つ特性が影響しているためです。最初に子宮に戻される受精したばかりの初期胚には、子宮内膜などを厚くして妊娠しやすい状態を作り出すよう身体に働きかける作用があります。

一方、ある程度成長が進んだ胚盤胞は既に着床寸前の状態に落ち着いているため、これを子宮に戻しても急激に母体を妊娠に適した環境に作り替える力はありません。このため、最初から胚盤胞のみを1回移植する方法では母体の環境を整えることが出来ず、うまく着床したり卵子が成長を続けることができない人もいるのです。二段階移植はこういったケースに対して効果が高く、1回目の初期胚でまず環境を整え、2回目の胚盤胞で本格的な着床を目指すという治療スタイルになります。

こういった特徴から、通常の初期胚では妊娠しない人や着床障害がある人、卵子の老化が激しい高齢の女性などに適した方法とされています。こういった人には特にこの移植方法が効果を発揮し、着床率がかなり上がることが確認されています。もちろんその成功の理由が先に初期胚を移植した効果なのか偶然なのかを明確に調査することは不可能ですが、確率やデータ上では改善が見込まれているため、なかなか着床させられない女性には効果があると言われています。

この移植方法のデメリットとしては、多胎妊娠の可能性がアップしてしまうことが挙げられます。自然妊娠と比べ、体外受精などを行うと一卵性双生児になる可能性が高いことはよく知られていますが、二段階で移植を行えば卵子が2つ存在することになるため稀に4つ子を妊娠することもあります。また、因果関係は明確ではありませんが多胎妊娠した胎児の体の一部が結合するなどの現象が見られたケースもあり、特殊な治療法であるがゆえのリスクもしっかり把握しておく必要があります。実際に多胎妊娠になったケースは数多く把握されており、クリニックによっては母体の負担を考えてこの移植法を実施していないところもあります。もし様々な方法を試しても着床できない体質の人は二段階移植を検討するのも良いですが、このようなリスクもあるため担当の医師とよく相談するようにしましょう。

二段階移植のような体外受精を行う場合、大きな負担となってくるのが費用の問題です。

通常、不妊治療は健康保険を適用できないので全てが自己負担となってしまいます。いくら費用がかかるのかはクリニックや実施する治療法などによっても様々に異なりますが、不妊治療で有名な専門病院などになると1回の体外受精が数十万円と非常に高額になることも珍しくありません。単純な体外受精の場合でも、平均的に約30万円ほどが必要になり、顕微授精など専門の技術や装置が必要になる治療であれば40万円から50万円が1回でかかってきます。これだけお金をかけたとしても確実に妊娠できる保証はなく、人によっては5回以上実施しても妊娠しないケースもあります。このように不妊治療は非常に費用がかかるため、いくら子供が欲しいと望んでも経済的に諦めざるを得ない人もいました。

こういった問題点を解決するため、日本では2004年から一定の人や治療を対象として不妊治療費を助成する制度が開始されています。国もしくは自治体からも助成金が支給され、1回の治療あたり15万円が上限として支給されます。助成金を受けられる回数には上限が定められており、40歳未満の場合で6回まで、40歳から43歳未満の場合は3回までとなっています。1回あたり15万円あればかなり助けになるので、積極的に情報を集めて制度を利用するようにしましょう。ただ、この支援制度は指定されたクリニックのみで利用できるため、全国どこの病院でも自由に選べるという訳ではありません。さらに、2016年度からは助成金を受け取れる年齢に上限が設けられ、42歳までしか利用することができないので注意しておきましょう。

このように、現代では不妊治療の技術も支援体制も徐々に進歩しており、妊娠を望むカップルにとって大きな助けとなってくれます。不妊に悩んでいる場合は、躊躇せず少しでも早くクリニックを受診するようにしましょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です


*