アシステッド・ハッチングとは?

赤ちゃんが欲しいと望んでも、なかなか自然に妊娠できない人もいます。避妊をしていないのに1年以上妊娠しない場合は不妊症と診断されるのですが、もし不妊症であっても年齢が若ければ若いほど治療効果が現れやすいので、できるだけ早くクリニックを受診して不妊治療を開始することが大切です。

不妊治療には数多くの方法がありますが、アシステッド・ハッチングという治療があることをご存知でしょうか。

アシステッド・ハッチングとは、採取した卵子を精子と受精させ、再び子宮に戻す胚移植の際に透明帯と呼ばれる部分に孔を開け、それによって着床率を向上させる治療のことを指します。透明帯とは卵子を保護している外側の層のことで、卵子が卵管など子宮以外の場所に着床するのを防ぐという働きも果たしています。無事に子宮までたどり着いた卵子はこの透明帯を破って孵化し、子宮内膜へと着床を成功させることになります。この透明帯をうまく破れるかどうかが着床の成功のカギを握っているとも言え、その過程をハッチングと呼んでいます。

うまく透明帯を破れなければ着床できずに体外へ排出されてしまうため、妊娠が成立しません。一般的に、卵子の透明帯は加齢や体外培養、または凍結などを行うことで硬くなると言われています。硬いままでは自力で孵化することが難しくなるため、例え卵子の状態が良くてもなかなか妊娠できないと言う事態に陥ってしまいます。このため、透明帯のごく一部を人工的に壊して孵化しやすい状態へとサポートするアシステッド・ハッチングという治療が行われるのです。

この治療によって卵子が着床しやすくなるため妊娠率が向上するのですが、必ずしも治療を行った人全てが効果を得られるわけではありません。アメリカの研究機関の発表によると、38歳以下の女性はそこまで透明帯の硬化が酷くないため、これを行ってもあまり効果は無いとされています。もちろんそれ以上の年齢であれば100%効果があるということでもなく、ある程度効果を得やすい特徴を持つ人というのが決まっています。

具体的には、卵子の透明帯が13ミリマイクロメートル以上ある厚い人や体外受精を繰り返しても着床しない人、凍結胚を使用して移植する人や39歳以上の人などです。卵子そのものの状態に異常が無いことが前提ですが、こういった特徴に当てはまる場合は治療効果が得られやすいとされています。実際にどのような方法で治療が行われるのかというと、現在では主に2種類に分けられます。

現在最もポピュラーな方法として採用されているのが、特殊なレーザーを使用して透明帯に極小の孔を開ける方法です。まずは最初に小さな孔を開け、様子を見ながら胚が脱出しやすい大きさになるまで少しずつ孔を広げていきます。レーザーは透明帯だけを狙って照射できるため、大切な胚まで傷つけることなく治療効果を得ることができます。技術もそこまで難しいことはなく、安全性も非常に高いため現在では広く普及している方法です。

もう一つの方法は透明帯切開法というもので、顕微授精のときに使用する特殊な器具で透明帯を切開することになります。人の手で直接手を加えるため技術的にも難易度が高く、胚に傷をつけてしまうことで多胎妊娠になるリスクが高まると言われています。
昔は酸性タイロード法という酸性の薬剤をかけて透明帯を溶かす方法も取られていましたが、酸を使うことで胚への悪影響が懸念され、現在ではまず見かけなくなりました。

アシステッド・ハッチングは透明帯の状態によっては非常に効果の高い治療法の一つなのですが、どのような手法で行うか、費用はいくら程度になるのかはそれぞれのクリニックによって異なります。一般的な相場としては約2万円から3万円程度と比較的安価な治療に入るのですが、体外受精の治療の一種として行われることが多いので、クリニックによっては体外受精費用の一部として最初から組み込まれている場合もあります。

体外受精は、その内容によっては1回の治療で40万円ほどかかってしまうこともあります。

平均的に見ると3回程度は行わないと妊娠へ繋がらないことも多く、不妊治療を続ける人々にとって大きな負担になっています。最近では国などが特定の不妊治療などに対して助成金を設けているため、人によっては1回あたり最大で15万円の補助を受けられる可能性もあります。不妊治療を行えば誰でも受け取れるというものではなく、あくまでも指定された病院で特定の治療を受けた場合のみが対象となっているので注意が必要です。

自分から申請しなければ補助は受けられないので、病院や治療内容を決める前にしっかり情報を集め、検討しておくことが重要です。この助成金のおかげで、これまで費用の問題で治療を諦めていた人にも希望が持てるようになるので非常に魅力的な制度だと言えます。不妊で悩んでいる場合は、これを機に治療を始めてみるか否か話し合いをしてみるのも良いでしょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です


*