顕微授精とは?

カップルで避妊をせずに定期的に性行為をしていても、1年以上自然妊娠をしない場合は不妊症だと定義されています。ひと昔前は不妊に悩む夫婦は約10組に1組と言われていましたが、晩婚化が進んだ現代においては約5組に1組が何らかの不妊症を発症していると言われています。不妊症だと診断された場合は、タイミング方や体外受精など様々な方法で妊娠できるよう治療を行っていくことになります。

人工的に卵子と精子を受精さる方法としては、人工授精や体外受精以外にも顕微授精というものがあります。約20年も前に開発された比較的古い方法にはなりますが、他の受精方法と比べると成功率が高いとされています。卵子を採取し、精子と体外で受精させた後に子宮に戻すという手法自体は同じなのですが、どうやって受精させるかという内容が異なります。

体外受精の場合、卵子に精子を振りかけるところまで手助けしますが、その後は自力で受精するのを待つようになります。この点、顕微授精の場合は顕微鏡で卵子を見ながら、器具を使って直接医師の手で卵子の中に精子を注入することになります。精子の量や活動量が低い人の場合や、卵子の質があまり良くなくて受精能力が低い場合でも直接受精させることができるので成功率が高くなります。通常はまず体外受精が行われ、効果がなかなか得られない人が顕微授精へ変更する形になります。

具体的なやり方やスケジュールは他の受精方法とほぼ同じで、主に排卵から採取、精子採取と顕微授精、その後の胚移植の5段階に分けられます。
まずは卵子を採取するために、スムーズに排卵しているかを確認する必要があります。周期が安定している人は、自然排卵されたタイミングを見計らって採卵することになりますが、月経不順などで定期的な排卵が難しい場合はホルモン剤などを用いて十分に成熟させた卵子を一定期間ごとに排卵させます。

うまく排卵されたら、麻酔をかけて膣内に専用の器具を入れて卵子を採取します。精子採取は、クリニックや自宅で男性が自分で採取した精子を提出してもらい、遠心分離機にかけて残った質の良いものだけを使用します。全ての準備が整ったら、いよいよ顕微鏡を使って受精させることになります。専門の医師が専用の装置を使い、元気で質の良い精子を直接1つ捕まえて、直接卵子に注入します。精子を注入された卵子はすぐに母親の子宮には戻されず、数日間受精卵を培養液の中で成長させてから質の良いものだけを子宮へ戻すことになります。

不妊治療を行ううえで気になるのが費用の問題ですが、この方法を行った場合も保険が適用されないためにほぼ全てが自己負担となります。クリニックや治療の内容によっても異なりますが、1回の顕微授精で約30万円から50万円ほどが必要となるケースがほとんどです。体外受精などに比べると費用が高く設定されていますが、これは精子を卵子に直接注入する作業自体に専門性が高く求められ、また専用の装置や器具も必要になるため約6万円から8万円ほど追加で費用が発生してしまうためです。

しかも、1回で成功するとは限らないので、回数を重ねれば重ねるほど費用もかさんでいきます。中には100万円以上かけても妊娠できないこともあり、治療を決断する前に費用について夫婦間やクリニックとしっかり話し合っておくことが大切です。

ただ、近年はこうした不妊治療に悩む人々の声に応え、保険は効かなくても国や自治体などから補助金が支給されるケースもあります。年収や女性の年齢などに応じて金額は変化しますが、少しでも助けになるのはありがたいものなので調べてみると良いでしょう。

この手法で受精を行った場合、うまく成功する確率は一般的に約70%前後と言われています。クリニックごとに成功率は異なるので、正式に治療を開始する前にそのクリニックの成功率を確認しておいた方が良いでしょう。もし70%を下回るようなら、あまり信頼して任せられない可能性が高いので他のクリニックを検討することも必要です。ただ、70%というのはあくまでも受精が成功するか否かであり、子宮に戻した後に着床して順調に成長するかはまた別問題です。着床できるかどうかは女性の年齢にも大きく影響され、20代という若さでも約40%ほどしか成功しないと言われています。35歳から40歳になると約20%に低下し、40歳を過ぎると僅か数%にまで落ち込んでしまいます。このような事実から見ても、不妊だと診断された場合は少しでも早く治療を開始することが大切だと言えます。

近年は様々な不妊治療が開発されてきていますが、昔からの顕微授精もいまだに活躍している手法です。非常に高い医療技術が必要となるため、どうしても費用が高くなりがちですが妊娠の実績が高いのもまた事実です。色々な治療を試してみても効果が得られなかったという人は、この方法を検討してみるのも良いでしょう。

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