卵巣刺激法とは?

現在、日本では結婚しているカップルのおよそ5組に1組が不妊で悩んでいると言われています。医療技術の発達も手伝い、様々な治療が行われていますが、その中のひとつに卵巣刺激法というものがあります。

一般的に、女性は毎月1度、1個の卵子を卵巣から排出します。この卵子がタイミング良く精子と出会い、受精して子宮に着床することで妊娠が成立するのですが、中にはホルモンバランスの乱れや体質などによって、スムーズに排卵が起こらない女性もいるのです。そこで様々な方法で卵巣刺激を行い、毎月卵子がうまく排出されるように手助けすることを卵巣刺激法と呼んでいます。体外受精を行うにしても、まず卵子が排出されないことには何の治療も行えないため、卵巣刺激を行うことは不妊治療にとって大切な第一歩であると言えます。

メリットですが、卵巣を刺激することで成熟した質の良い卵子を排卵させることができます。卵巣を刺激するためには、排卵誘発剤などを使用します。排卵がうまく行われない女性はそもそもの排卵周期が乱れているため、例え自然に排卵されたとしても十分に成熟しておらず、受精に適していない状態であることが多いのです。卵巣刺激によって定期的に排卵が起こるようになれば、十分に成熟した受精能力の高い卵子を得て妊娠率を上げることができるのです。

また、排卵する時期をより正確に予測できるようになります。卵巣刺激を行うと、排卵周期が一定に整っていきます。このため、毎月どのくらいの時期に排卵が起きるかを正しく把握できるようになり、排卵のと合わせて人工授精やタイミング法を実行できるので、より成功率がアップします。

さらに、受精卵が子宮内膜に着床しやすい状態を作るというメリットもあります。通常、排卵が起きると卵巣の中には黄体ホルモンが増加します。この黄体機能が向上すると、子宮内膜が厚くなるなど受精卵が着床しやすい環境を作る効果があります。この効果は妊娠が成立するために非常に重要な役目を果たしており、排卵後にいかに黄体機能をアップさせるかが重要になってきます。不妊に悩む女性の場合、排卵してもこの黄体機能がうまく維持できないケースも多く、せっかく受精してもなかなか着床できないために妊娠できないということになります。この点、卵巣刺激を行うと卵子が十分に卵巣の中で成熟するため、それに反応して排卵後も高い黄体機能が維持されることになるのです。

一方、卵巣刺激法のデメリットは刺激を与える大きさによって異なります。卵巣刺激は大きく分けて高刺激と低刺激の2種類に分けられますが、高刺激の場合は使用する薬剤も威力が強かったり身体に負担のかかるものが多いため、吐き気やめまいなどの副作用が現れやすくなってしまいます。低刺激の場合は身体への負担は少ないですが、その分排卵を促す効果も低く、一度に採取できる卵子の数が少なくなってしまうことが挙げられます。卵子の数が少なければ順調に成長できる卵子も得にくくなり、妊娠成立までに時間がかかってしまうという問題が起きます。

卵巣刺激で行われる方法は様々なタイプがありますが、主にロング法やショート法、アンタゴニスト法などがポピュラーとなっています。各クリニックによってどの方法を採用しているかは異なり、それぞれメリットやデメリットがあるので正しく理解しておくことが大切です。

ロング法は、最も広く普及している方法で、1回あたりの採卵数が多く妊娠や胚凍結の可能性が最も高くなります。長い期間ホルモン剤を投与することで徐々にタイミングを整えていき、採卵日を管理しやすいうえに卵子を十分に成熟させることができます。使用する薬剤の量が多いので、だいたい37歳以下の比較的若い方や卵巣機能に問題の無い方が対象となっています。1回の採卵で5個から8個ほどの卵子を得ることができるので、卵子をより多く採取したい方などに向いています。

ショート法は、ロング法より薬剤を少なく短い期間投与する方法です。短期間で卵子を成熟させることができ、薬剤も少ないため年齢の高い方や卵巣機能が低下している方でも行えるのがメリットです。ただ、期間が短いために周期が整わず、採卵のタイミングが取りにくいというデメリットもあります。

アンタゴニスト法は、ロング法やショート法でうまく採卵できない場合や、卵子が成熟する前に排卵されてしまう傾向の強い方などに適用されます。採卵周期に応じて、約1週間続けて誘発剤を注射することになりますが、卵子が成熟する前に排出されるのを予防するために、一時的に排卵抑制効果のあるアンタゴニスト製剤というものを投与することになります。この薬剤は比較的高価で、他の方法と比べて治療費がかさんでしまうので注意しましょう。

このように、卵巣刺激にはメリットやデメリットがあり、それぞれの方法に応じて特徴も異なります。自分の体質や希望などをよく担当医と相談し、無理なく実践していくようにしましょう。

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