着床前診断について

着床前診断とは、受精卵の細胞の一部を取り出し、染色体の異常がないかを調べる検査のことです。卵巣から排卵された卵子と、膣から子宮・卵管を通過してきた精子が出会い、受精卵として成長しながらまた子宮へと戻り着床することで妊娠が成立します。卵子や精子に染色体異常がある場合は受精しない、着床しない、もし着床したとしてもその後成長が止まり流産・死産となるというどれかの結末を迎え、出産まで至ることはほとんどありません。

流産自体は全妊娠の15%ほどあるとされ、特に珍しいことではありません。

しかし、2回繰り返す反復流産、3回繰り返す習慣流産などには何らかの原因があると考えられ不育症の検査が行われます。免疫系や血液凝固因子系の異常、子宮の異常などがない場合は、染色体異常による流産である可能性が高いです。加齢とともに染色体異常をもつ卵子の割合は増加していきますし、夫婦どちらかに染色体異常がある場合はさらに染色体異常をもつ受精卵ができる確率が高くなります。

不妊治療を行い、体外受精や顕微授精でグレードのよい受精卵を戻しても妊娠に至らない、または妊娠しても流産や死産を繰り返してしまう、こういった場合は染色体異常が原因である場合がほとんどです。染色体異常は受精卵の見た目だけでは判断できません、グレードもよく成長の早い受精卵であったとしても染色体異常を持っている割合は50%あると言われています。

繰り返す流産・死産や終わりの見えない不妊治療は、女性の身体的・精神的ダメージが大きくなります。流産を繰り返すと子宮の癒着が起こり、さらに不妊となってしまうこともあります。体外受精のために採卵を繰り返すことは卵巣に負担をかけ、卵巣機能の低下を早めてしまう可能性もあります。このような場合、着庄前診断を受けることで、妊娠できる可能性の高い受精卵を選択して子宮に戻すことで、妊娠の確率を高め、流産・死産のリスクを減らすことができるのです。

また夫婦どちらかが重い遺伝子病を患っており、子供にも遺伝する可能性がある場合は、着床前診断をすることで遺伝子疾患を持たない受精卵を選択することができます。子供に遺伝することを恐れ子供を持たない選択をしていた方々にとっては希望の光となる技術といえるでしょう。

まず初めに

着床前診断を受けるにあたっては、その必要性があるかを医師が判断し、日本産婦人科学会へ申請して審査を受け、許可を得る必要があります。着床前診断は本当に子供を欲しいと思っている人のために行われるものです。障害のない子供がほしい、男女の産み分けをしたいなどの理由で、簡単に着床前診断を行うことは命の選別になってしまいます。そうなることが防がなければなりません。

検査方法

検査の方法としては、受精卵が胚盤胞と呼ばれる着床直前の時期まで育った段階で、一部の細胞を採取します。胚盤胞は赤ちゃんになる部分と胎盤を形成する部分に分かれている状態であり、胎盤になる部分から細胞を摂取してもその後の着床や発育に影響を及ぼすことはないという研究結果が出ています。結果が出るまでには1か月程度かかりますので、一旦受精卵を凍結して検査結果を待ち、問題がないと判断されて受精卵を移植することになります。

費用

費用面に関してですが、かなり負担は大きくなります。検査を受けるためには、不妊ではなくても体外受精や顕微授精を行って受精卵を得なければなりません。これらには保険は適用されませんので、すべて自費となります。実施施設や排卵誘発の方法などによって違いはありますが採卵・受精卵凍結・融解移植など一連の治療で30万円~50万円ほどかかります。そして受精卵1つを検査に出すのに8万円から10万円程度かかります。1つだけ出したとしてもそれが染色体異常であれば移植できないということになりますので、通常は得られた複数の受精卵を検査に出すことになります。その数によって負担金額は異なってきますがかなりの高額になることは否めません。

特定不妊治療費助成

高度不妊治療においては、各自治体が助成制度を行っており1回あたり15万円の助成金を受け取ることができます。しかし、年齢によって回数に制限が決められていますし、所得によっては適応外になることもありますので、確認しておくことが必要です。また、確定申告で医療費控除の申請を行うことで、いくらか税金が還付されますので、領収書はなくさないように保管しておき、申請しましょう。

検査をして染色体異常がないと判断されたとしても、その受精卵を戻して着床する確率は100%ではありません。体外受精・顕微授精を行うことは女性の身体にとって大きな負担となります。また金銭面での負担も考えなければなりません。しかし、それでもわが子を抱くことができる可能性にかけてみたいと思われる方は、医師に相談して検査を受けることを検討してみてはいかがでしょうか。

参考URL:着床前診断ネットワーク http://pgd.ne.jp/

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です


*